『ザ・プロフェッショナル』 (28)
『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行
<目次>
はじめに 予言は自己実現する
第1章「プロフェッショナリズム」の定義
第2章 先見する力
第3章 構想する力
第4章 議論する力
第5章 矛盾に適応する力
第3章 構想する力
見えない大陸を勝ち抜くには、新旧両大国に関する
深い洞察と理解、そして徹底的な自己否定が強く
求められます。では、そこで自分の何を否定し、
何を生かすのか。これを取捨選択するのも、
また構想力なのです。
ジャングルを切り拓く構想力を育てることは、
組織の遺伝子を組み換えることにほかならず、
そのためには大胆な投資を意思決定しなければ
なりません。ただしこの投資は、必ずしも見返り
が得られるとは限らないことを、あらかじめ理解
しておくべきでしょう。大ざっぱにいえば、現在の
コア事業に3分の1、基礎的なR&Dに3分の1、
残る3分の1を新大陸のルールで発想できる
ニュー・タイプの人材、言い換えれば、過去の成功
体験や現状を「過去形」で語ることができる、
とらわれない才能に投資すべきだと私は考えて
います。
すべてが大きく変わっていく世の中で、変化に耐え
うるには、いつも自分を客観的に見て、自分自身を
変えていかなければなりません。限界なき自己変革は、
先見と構想のプロセスをたえず回し続けることで実現
します。
これまで、多くの人がさまざまに近未来を予言してきま
したが、そのほとんどはすでに過去形となりつつあります。
これらを一度棚卸しして、整理・検証する必要があるの
ではないでしょうか。そのうえで、現在進行形の事象も
含めて、それらすべてが過去形であるという事実を確認
することが次代を構想するスタートラインとなるでしょう。
未来は突然訪れるのではなく、小さな過去の積み上げの
うえに大きな飛躍があった時に、主潮流となって現れます。
つまり、いま起こっていることを直視して、それを外挿する
ことによって未来の社会、将来の事業を構想できるのです。
最近知った言葉に、「メタ認知」があります。
メタ認知をWikipediaで調べてみると次のように定義
されています。
(メタ認知)
メタ認知(メタにんち)とは認知を認知すること。
人間が自分自身を認識する場合において、
自分の思考や行動そのものを対象として客観的に
把握し認識すること。
それをおこなう能力をメタ認知能力という。
つまり、もう一人の自分から自分を見て、自分の考えや
行動を認識することです。
大前さんが、「いつも自分を客観的に見て、自分自身を
変えていかなければなりません」と述べていることです。
今、このメタ認知あるいは客観的に自分を見ることが
とても大事だと考えています。
過去の成功体験や現状に満足し、胡座をかいている人が
います。こうした人は近い将来淘汰されるでしょう。
「成功の復讐」や「茹でガエル現象」によってしっぺ返しを
喰らうからです。
自己否定は相当の意思がないとできそうにない、と思われ
がちですが、そんなに難しいことではありません。
メタ認知や客観視によって、もう一人の自分がどう自分を
見ているか聞けばいいだけのことです。
そのうえで、自分で判断し、自己否定へのプロセスをたどれば
よいのです。難しく考える必要は全くありません。
(大前研一ライブ579)
記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。